森木製菓

果たして社長になれるのか!?

太宰治とラオス人を戦わせてみました

サバイディー!
もう少し涼しくなって欲しい森木です。



私はいまラオスにいるのですが、そんなことより皆さんに聞いて欲しい悩みがあります。

それは太宰治の小説が好きなのにあんまり読みたくない」というものです。


太宰治の作品を初めて読んだのは中学生の頃で、そのときに私は彼の物憂げな文章に魅了されました。

以来、生活の範囲に太宰治の本がないと落ち着かない女になってしまったので、ラオスに出張に来ているいまも、ちゃんと『斜陽 人間失格 桜桃 走れメロス 外七篇』も一緒にいます。


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お気に入りの作品は『人間失格』で、これはもう親に心配されるくらい何回も読みました。


それぐらい好きなんです。

しかし、太宰治の作品を読むと、なぜだかその日はだいたい嫌な夢を見てしまいます。

最近だと「家に犬と猫が大量に入ってくる夢(ラオス狂犬病が流行っているから死も同然)」ラオスのレストランの責任者になって、仕事のストレスを発散するために休憩時間に叫ぼうとしたけど全然声が出なかった夢」など、じわじわと苦しめられ、朝起きてなんとなく疲れる系の夢をいくつか見ました。


そして近頃、私はこのジレンマに苦しめられているというわけです。

ただでさえ娯楽の少ないラオスでの、楽しみな時間を提供してくれる心のオアシス太宰治

しかし読むと翌朝は嫌な気持ちで目覚めてしまう…。


なんとかこの状況を打破する方法はないかと、私は2週間ほど解決策を考えました。

いや、もしかしたら意外と3日くらいだったかもしれない、分からないけどとにかく考えました。

そしてその結果思いついたのが「太宰の陰のオーラとラオス人の陽のオーラを戦わせよう」ということです。



そもそも私が彼の文章を読んだ日に嫌な夢を見てしまうのって、作品の影響を受けて暗い気持ちになっているからなんですよね。

だから要は、その負の感情を無くすことができればいいわけです。

そのためには明るさが必要になってくるのですが、これにラオス人はぴったりだと思いました。


なぜならラオス人たちは本当にみんな幸せそうなんだ。

東京みたいに高いビルもなければ、便利な電車も走っていない素朴な国だけれど、だからこそ集まってビールを飲んだり、大音量で音楽を聴いたり(最初はキレそうだった)、魚釣りに行ったり、スポーツをしたり、とても人間的な素敵な時間を過ごしているんです。



もう太宰治に勝つにはラオス人たちの力を借りるしかありません。

明るいだけでなく、心の闇すら感じさせないその環境にいれば、太宰作品特有の暗いオーラを相殺してくれて、私の見る夢も多少はマシになるはずです。



そこでまずは手始めに、仕事終わりに談笑するラオス人の側で太宰治を読んでみることにしました。



「何やってんの笑」というツッコミが3連続くらいで入り、冷静に考えたらまじで何やってんだと思ってちょっとニヤけてしまいました。

ちなみにこの時は、『斜陽』の"主人公の女性が忘れられない男M・C(マイ・チェホフ)宛に手紙を書く"という、とても心がきゅっとなる箇所を読んでいました。


そしてこの日はいつも通り23時過ぎに就寝。

肝心の夢はというと、まさかの何も見なかったほどに爆睡していました。


まだ早すぎる。もっと色んな所で挑戦する予定だったのに、案外第三者が1人でもいるだけで私は安心して眠ることができてしまったようでした。

企画倒れも良いところです。

でもこの日はお酒を少し飲んでいたし、もしかしたらラオス人ではなくアルコールのおかげだったかもしれないので、もう少し挑戦してみましょう。



ということで、お次の読書会場は「ナイトマーケット」です。

ナイトマーケットはメコン川沿いで毎晩行われている夜市で、ラオスっぽいTシャツやカバン、音質の悪いヘッドホンなどが安い値段で買えます。

観光客や地元民が沢山いるので、前回に比べてだいぶ陽のオーラが強いです。


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この日は『ダス・ゲマイネ』を読んでいました。

ちなみに袋に入っているのは、「ピン東京」という日本人スーパーで買ったボールドです。

やっぱり日本の洗剤じゃないとニオイとか取り切れない感じがする。



それから近くでやっていたズンバに参加。


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これは毎晩18時からメコン川沿いでやっていて、参加費はたったの60円という素晴らしい青空エクササイズ教室です。

しかし私たちが着いた頃はもうクールダウンタイムに入っており、料金を回収するおばちゃんが見かねて「また来てね」と言ってその日は参加費を返してくれました。

カッコいいですね。



そしてこの日の夜は23時前に寝たのですが、なんとまた何の夢も見ませんでした。

こんなにあからさまに結果が違うものなんでしょうか。

教科書にも載るほどの文豪の表現を抑制するなんて、ラオス人の明るいパワー強すぎです。



ただ1つ謝らなければいけないことがあって、実はこの日、「ラオカオ」という安く手に入るけど度の強い焼酎、いわばラオスの大五郎のようなお酒をいただいちゃったんですよね。


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翌日その人に会う予定もあったし、もしかしたら感想とか求められるかもしれないなと思って、本当に少しなんですけど、その日もアルコールを体内に入れてしまいました。

だから今回もまたお酒の効果によるものである可能性が高く、正確な結果であると言えないので、もう1度だけ再実験しましょう。



三度目の正直。今回は「サイクリング会場」で太宰りました。

ハッスルしているラオス人が多く、太宰と戦わせるには最高な環境です。


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(顔の調子がめちゃくちゃ悪い)


このサイクリングは、EU(ヨーロピアンユニオン)主催の”植林のために20km走ろう!”というコンセプトのもと開催されたものです。

ラオスって探してみると意外とこういうアクティビティがあるんですよ。


それで私がいる首都ビエンチャンは昼間になると余裕で30度を超えるので、この日のスタート時間はまだ涼しい朝の6時でした。

4時起きでおねむ大魔神だったけど、開始前の1番人々が盛り上がっている中で『人間失格』を読みます。



20kmは意外と80分くらいで走り終わって、そうしてその日は22時過ぎに気が付いたら眠っていました。


そしてなんとこの日は夢を見たのです。

内容は、職場の男性からお出かけに誘われるというものでした。

全然嫌な夢ではない、ということはやっぱりラオス人のいる環境で太宰治を読めば悪夢にうなされずに済むということなんでしょうか。



でもこの日はアルコールが完全に体内になかったかというと、そうでもないというか、まぁ呼気検査をしても検知されるほどの量ではないと思うけど、0ではなかったかもしれないです。

まぁアレですね。ラオスってビアラオとか美味しいお酒がたくさんありますからね。



というわけで、今回の実験で分かったのは、ラオスではお酒無しには生活できない」ということと「アルコールありがとう」ということでした。

人間失格

以上!!!