今日は、ミカちゃんはサッカーの練習を見に行っていなかったようだ。
だけど友達がきっと何の気なしに言った「タクヤといるときのミカちゃんって楽しそうだよね」という発言で、僕は落ち込んでしまった。
そんなのは僕だって分かっていたし、友達はただ事実を言葉にしただけだ。
でも僕は悲しい気持ちになった。
僕じゃない、誰から見てもそうなんだ。
それから、僕もサッカー部に入ろうかと思った。
サッカー部に入ることで、ミカちゃんの視界に入る時間が増えるなら、少しでも他の人より興味を持ってもらえるなら、僕は走るのが苦手だけど頑張ろうと思う。
そしてタクヤなんかよりもずっと上手なプレーをして、ミカちゃんに褒めてもらうんだ。
ミカちゃんは僕のためにサッカーの試合をテレビで見るようになって、僕が練習試合の日をミカちゃんに教えてあげるんだ。
でも、僕だって本や文章への熱意は、タクヤのサッカーに対するそれとほぼ一緒だ。
だけどミカちゃんは読み物に興味がないんだ。
僕がどんなに面白い本を読んでいようと、学校で選ばれるほどの文を書こうと、誰よりも僕を賞賛してくれない。
僕の好きなものを同じように好きになって、そうして僕を認めて欲しい。
タクヤと同じように、一緒にいるだけで幸せになって欲しい。