シーン1・美花宅、夜
美花母、食器を洗いながら、
美花母「美花は偉いね。いつも勉強して」
美花、台所のそばの机でテキストを広げている。
美花「大学生は暇だから」
美花母「今のうちに色々取っておけば、就職のときに便利だからね」
美花母、食器を食洗機に入れ、
美花母「そろそろあの人が帰ってくるよ」
美花、スマホの画面をつける。
メッセージの表示。
美花「ほんとだ。私、カフェに行ってくる」
美花母「そう、珍しいね。気をつけてね」
美花「たまには息抜きで」
美花、洗面所に向かう。
美花母「なにしてるの?」
美花「もし友だちに会っちゃったらアレだから、軽く化粧」
美花、化粧水を手に取る。
美花母「いいのにそんな。じゃあお母さん、部屋に戻るから」
美花、化粧水を顔につける。
シーン2・公園、夜
美花、自転車を漕ぎ公園のそばで止まる。
カバンからスマホを取り出す。
美花『着きました。どこにいますか?』
美花、あたりを見渡す。
ゆう『公園のちょっと先のコンビニに来て』
美花『了解です。向かいます』
美花、再び自転車を漕ぎはじめる。
シーン3・コンビニ、夜
美花『コンビニ前にいます』
ゆうからの着信画面に変わる。
美花「もしもし」
ゆう「もしもし。今マンションの前」
美花、キョロキョロしながら、
美花「コンビニのそばですか?」
ゆう「そう。コンビニの横の通りをちょっと奥に行って」
美花、片手で自転車を押しながらコンビニ横の通りに行く。
少し先に男性が立っている。
ゆう「あ、あれかな?」
ゆう、美花の方に向かって手を振る。
美花「あ、見えました」
ゆう「こっち来て」
美花、ゆうの方に向かいながら、
美花「コンビニは良いんですか?」
ゆう「うん、とりあえず」
美花、ゆうの所に着く。
美花「初めまして。お待たせしました」
ゆう「まさか近所だと思わなくてびっくりした」
美花、スマホをしまいながら、
美花「ですね。コンビニ行きましょっか」
ゆう「その前にうち上がっていきなよ」
美花「えっ。公園は行かないんですか?」
ゆう「なんか思ったより寒いし、うちの前まで来ちゃったわけだし」
美花「じゃあカフェとかでも!」
ゆう「上京してきたばっかだから、分かんないんだよねこの辺」
ゆう「今ちょっと部屋片付けてくるから待ってて」
ゆう、マンションに戻る。
美花、スマホを取り出し、
美花『すみません。やっぱり帰ります』
ゆう『あと3分で終わるから』
美花『聞いていた話と違います』
ゆう『もうここまで来ちゃったんだから』
美花、溜め息をつく。
美花『帰ります』
美花、スマホの画面を見つめる。
ゆう、マンションの出入口から出てくる。
ゆう「お待たせ」
美花「あの…」
ゆう「自転車はここに停められるから」
美花、ゆうについて行き駐輪場へと向かう。
シーン4・ゆうの部屋、夜
美花「お邪魔します」
美花、玄関で靴を脱ぎ、ゆうの後へと続く。
ゆう、台所の前で美香の方へと振り返り体を抱き寄せる。
ゆう「来ちゃったね、結局」
美花「ちょっ…」
ゆう、体を少し離し、
ゆう「嫌?」
美花、黙る。
ゆう「もうここまで来たんだからしよう」
美花「無理です。最後までは私はお付き合いしてる人としか…」
ゆう、再び美花を抱きしめ、
ゆう「じゃあその前まで。咥えて。お願い」
美花、力無くゆうを抱きしめ返す。
シーン5・ゆうの部屋、夜
2人、玄関先。
ゆう「今日はありがとう。またね」
美花、カバンをかけながら、
美花「今度は普通にお話ししたい」
ゆう「うん、でもその前に次は最後までしよう。それからお出かけもしようね」
ゆう、美花の頭を撫でる。
ゆう「気をつけてね、美花ちゃん」
シーン6・ゆうのマンション、夜
美花、ゆうの住んでいるマンションを出る。
スマホを取り出し、メモを開く。
『207』