『何者』を観た感想。アレは就活映画だったのか?
こんばんは!
チッザを食べたらめちゃくちゃ美味しくて嬉しかった森木です。
さて、今日はタイトルの通り、映画『何者』の感想を書いていきたいと思います!
出典:映画 何者のキャスト情報!ギンジは誰なのか!? | 映画ネタバレ感想情報局
有村架純、二階堂ふみ、岡田将生、佐藤健、山田孝之、菅田将暉…とキャストがとにかく豪華です。
そう、菅田将暉!
私の好きな「忘れらんねえよ」というアーティストが楽曲提供をしていたので観に行こうと思ったのですが、菅田くんが出ているのでやめようかな…と思ったんです。
けれど、誘われてしまったし、さすがに「菅田将暉くんを見ると動悸がするから無理です」なんて言うこともできずに結局観に行きました。
観に行くと決めたはいいけど、数日前から情緒不安定になっているのが自分でも分かったし、当日も不安過ぎたので財布に精神安定剤を入れておきました。
もういつ処方されたのかも分からないやつだったんですけど、あるだけでも気持ち的に楽かなと思ったんです。
家のテレビだったらボタン1つで菅田くんの姿を視界から消すことができるけど、映画館ではそうはいかないので、何かあったら静かにそれを飲もうと思いました。
それに声をかけてくれた人は、私が菅田将暉アレルギーだということを知らなかったので、直前になって「実は私は菅田くんのことが大好きすぎて見るだけで動悸がする。最近はCMもドラマも見ていない。だからもし私が倒れたりしたら『菅田将暉くんが原因です』って言って欲しい」と伝えました。
「なんか誘ってごめん…」と言われました。
相変わらず前置きが長くなってしまいましたが、ここから感想です。(ネタバレ注意!)
観に行ったのが10月下旬なので少し曖昧ですが、『何者』は就活映画というよりも、SNSに対するものが強いなぁと思いました。
「就活」というのは、ほとんどの人にとっては人生がかかったイベントです。
それと同時に多数の他者と競争し合う中で、今までは感じることのなかったレベルの焦燥や貪欲さが出てくる時期でもあると思います。
もちろん、初めに申し込んだ1社に受かるということは本当に稀で、結果多くの人が何社もの"御社"と面接をしていきます。
いくら業種が一緒とはいえ、理念や経営方針、社風は千差万別。
「内定」をもらうためには、その全てに合わせていかないといけません。
ある時はリーダーシップが取り柄な自分になり、またある時は何年も同じ部活をやってきた継続力が強みの自分となり、そして臨機応変に動ける自分になることもあるのです。
そうしていく中で、就活生は自分を見失いそうになります。
つまり、自分は一体「何者」なのかが分からなくなる。何者でも無いのではという感覚さえ抱く。
良く捉えれば、"様々な面があるという魅力"にできるのだろうけど、結局自分は何なんだ、どれが本当なんだという感覚に陥ってしまうのです。
あとは正直22年しか生きていないのに、「自分が何者であるのか」を説明するのって結構苦痛だと思うんです。
けれど、面接を受ける以上、それは強いられてしまいます。
それどころか自己分析なんて必要最低限のことだよ、という見えない空気と"そんなことすら"分からない自分が情けなくなってしまうこともあるのではないでしょうか。
でも正直分かるはずもないし、分からなくちゃいけないの?とも思います。
菅田くんがインタビューで「素の菅田将暉はどんな感じですか?」と聞かれたときにこう答えていました。
「色んな一面があると思います。自分でも、分からないですし。多分これからまだ作っていくことだと思いますね」
はぁ…。
しかもそのときの顔がこれですよ。
起きてる?って感じですよね。
でもこんな顔も世界で一番魅力的なので本当に悔しいです。
なんか実際の就活もこの(何を聞いてるの?)みたいな顔で挑んでもらいたいですね。
話が少しそれましたが、一方でSNSは自分をさらけ出せる場でもあり、使い分けることのできる場でもあります。
ここでも人は己を使い分けるんですね。
いわゆる本垢では、友達といるときと変わらない自分を、裏垢では人に言えない趣味やあの子の悪口をツイートします。
今思いましたけど、現代って本当に自分が「何者」であるのか分からなくなりやすくなってますね。
就活もしかり、Twitterなんて。
超個人的な話ですけど、私は実は3つのアカウントを使い分けていて、1つは高校時代からやっているもの、2つ目は大学生になるときに作ったもの、3つ目は友達は誰も知らない鍵付きメンヘラアカウントです。
1つ目2つ目はまだ分かるんですよ。
けど、メンヘラアカウントでツイートしているとき、(あれ、私って結局どれが本当なんだ?)という感覚に陥ることがあります。
Twitterの複数垢を作ることができる機能は便利である一方で、こういう人間の一時的なブレを集めて記録出来る感じが非常に怖いようにも思います。
なんかこれも自分の全てなのではと錯覚してしまうことがあるんです。
私はフォロワーにいる友達の愚痴を堂々とツイートする人の気持ちが分かりませんでしたが、そういう人はある意味健全だと思いました。
かと言って、私はメンヘラ垢でも愚痴は書けずに自分と社会に対する文句しか言っていませんが。
そんなSNSと就職活動が組み合わさったストーリーの『何者』は観ていて本当に心がえぐられました。
拓人もまた裏垢を持っている人だったのですが、そこで就活意識の高い友達をどこか冷めた目線で見たディスりツイートをしていきます。
多分、本垢よりもフォロワーが多くてふぁぼもそれなりにもらえたのでしょう。(理香(二階堂ふみ)がそんなことを言っていた気がする)
当然承認欲求も満たされます。
このアカウントは結局理香と瑞月(有村架純)にバレてしまうのですが、そこで今までの話が舞台上で繰り広げられているシーンに切り替わるのです。
そしてそれを見て拍手をする多くの観客。
私は舞台=Twitterで、観客の拍手=ふぁぼであるように思いました。
お前は見ず知らずの他人に認めてもらうためにそれをやっているのか、というメッセージであるように感じ取れました。
舞台=誰かの前の自分、観客=友達という捉え方もできます。
結局人間なんて、誰かに受け入れてもらいたくて仕方がないのです。
その結果演じる。
演じて演じて苦しくなって、いわゆる本当の自分を受け入れてくれる場所を探す。
でもそれだけじゃ不安だからまた戻る。
それの繰り返しです。
私はたまにこの世界は結局映画なんじゃないかという錯覚に陥ることがあるし、実際に映画の中にいることもあります。
この感覚は人からしたらただの病気なんですけど、あながち間違っていないようにも思うんです。
誰が監督なのかは分からないけれど。
それにTwitterが無かったら正直人生は変わっていたと思います。
就活だって、私は未だに嫌いです。
ただ1つ言えるのは、光太郎(菅田将暉)が最高だったということです。
光太郎の一挙一動に泣きました。彼は本当に良い人です。
頑張って欲しい。本当にこの世に存在して欲しかった。
あとはあの、自分の実績を喋れば喋るほど薄っぺらく見えてしまうアレって何なんですかね。
理香がそうでしたけど。
そして瑞月が言っていた「光太郎は自分の人生にドラマを見出したけど」というセリフも忘れられません。
瑞月は両親が離婚してしまい、訳あって病んでしまった母親と一緒に住むことになったので、制度がしっかりしている会社に入らないといけませんでした。
一方で光太郎は、自分の目標に向かって好きなように就職活動をすれば良かったのです。
私は完全に光太郎側の人間です。
だって正直家庭がピンチだったら「なんで新卒が全てなの?」なんて言えません。
この自分の思考や疑問は、環境にある程度の余裕があるから抱けるものだし、一重に就活と言っても瑞月のような人から光太郎のような人まで様々います。
みんな背負うものが違うんです。
そんな人たちが競争しなければいけないと思うと、本当に残酷なイベントだなぁと思ってしまいました。
もっと言いたいことがあった気がしますが、もうこんな時間なのでとりあえずここまでにします。
以上!
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