森木製菓

果たして社長になれるのか!?

【脚本】北極星


【シーン1 石田の家・夜】

机の上にはお酒と和食のおつまみ。すでに酔いが回っている3人。

鈴木「彼女さんの料理まじうまいっす!!」

石田「だろー」

春子、空いているお皿を片付けながら、

春子「ありがとうございます。大輔さんに比べたらまだまだだけどね」

石田「それは確かに!」

鈴木「いやいやそこは謙遜してくださいよ!」

楽しそうに笑う4人。


古川「そういえば石田さん、今度のライブって…」

古川、グラスに手を伸ばすが倒してしまう。

古川「あぁっ!! すみません!」

古川、拭くものを探しキョロキョロする。

春子「あっ、大丈…」

石田「あーいいよいいよ! 春子、お願い!」

石田、雑な感じで春子に手招き。

春子、台ふきを取りに行く。

春子「うん。古川さん、大丈夫ですよ」

古川「あぁっ…すみません…」

春子、食器を置き、台ふきを手に取り3人の元に戻る。

こぼれたお酒を拭く。

古川「ごめんなさい、ほんとあの…」

石田「いーの! 気にしないで!」

春子、古川にニッコリ笑って、

春子「そうそう。大したことじゃないんだから」

古川、少しうつむき加減で、

古川「ありがとうございます…」

鈴木、古川の頭を軽く叩き、

鈴木「お前何やってんだよ!」

春子、机を拭き終わりその場を去ろうとする。

石田、空になったお皿を春子に差し出す。

石田「これ」

春子、お皿を受け取りキッチンへ。

鈴木「それにしても彼女さん優しいっすねー!」

石田、お酒を1口飲んでから、

石田「まぁ、俺のこと大好きだしな」

古川、キッチンに立っている春子の方を見る。

鈴木「羨ましいっすよ! 料理が上手で優しくて、しかもひと回り下の彼女さんができるなんて!」

石田「まだ羨ましがる年じゃないだろ! 春子とお前ら1個くらいしか変わんねぇんだから」

石田、おつまみを食べる。

鈴木「まじ!? 俺が付き合いたかったぁ!」

古川「オイオイ…」

3人、ワイワイ楽しそうにする。




【シーン2 石田の家・夜】

石田の隣に座っている春子。

顔がほんのり赤い。

石田「もうさぁ、アレだよな。あの~」

石田、ごにょごにょ言いながら机に突っ伏す。

春子「あーもう」

春子、石田の顔を覗いて、

春子「ごめんなさい。そろそろお開きにしよっか」

鈴木「そうっすね。帰るか」

鈴木、古川の方を見る。

古川「あっ、うん。もう時間も時間だし…」



鈴木と古川、玄関の方へ。

春子、石田の肩を軽く叩くが反応なし。

春子、鈴木と古川に続いて玄関の方へ。

鈴木「今日はごちそうまでありがとうございました!」

春子「こちらこそ」

古川、軽くお辞儀をし、

古川「ありがとうございました。あの、本当に美味しかったです」

春子、微笑み、

春子「そう、良かった。帰り気をつけてくださいね」

鈴木、玄関の扉に手をかけ、

鈴木「ありがとうございます! じゃあまた! 石田さんによろしくお伝えください!」

春子、玄関の扉を抑え、2人に手を振りながら、

春子「はーい。お腹が空いたらいつでも遊びに来てね」

鈴木、春子に手を振り返し歩き出す。

古川、再び軽く会釈をし、小走りで鈴木の後へ。




【シーン3 新宿のライブハウス・休日昼】

石田のコンビがMCのライブ。

鈴木と古川、その他芸人で盛り上がる。

それを客席から楽しそうに見ている春子。




【シーン4 新宿の路上・休日昼】

石田「あ、春子」

春子「お疲れ! 今日も楽しかったよ」

春子、石田に手を振り、小走りで駆け寄る。

鈴木「春子さん、今日お休みなんすか?」

春子「うん。土日はお休みだからよく見に行ってるの」

石田、ニヤリとしながらタバコを咥え、

石田「オレが出てるライブだけ?」

春子「そうだね。今のところは!」

石田、ニヤけたままタバコの煙を吐き、

石田「んだよ一言余計だぞ」

春子、嬉しそうに笑う。

古川「仲良しっすね」

石田「まぁな。付き合いたてで1番楽しい時期だし」

春子「もう! そっちこそ、一言余計!」

鈴木「勘弁してくださいよ痴話げんかなんて~」

4人、笑う。

石田、タバコの火を消し。

石田「よし。飯食いに行くか」

鈴木「っしゃ! 腹ペコっす!」

4人、繁華街の方へと歩き出す。




【シーン5 新宿・昼】

石田と古川、2人で歩いている。

石田「なんか最近調子わりぃなぁ」

古川「俺もハマってばっかりです」

石田「取り返さないとな」

石田と古川、公衆喫煙所の方へ。

古川「春子さんって知ってるんですか?」

石田「何を? これ?」

石田、スロットを打つ動作をする。

古川「はい」

石田「あぁ」

石田、タバコに火をつけ。

石田「お前、春子のこと気になってんの?」

古川「あ、いや。単純に知りたかっただけっす!」

石田「あぁ、そう。別に知ってるけど、何も言われないよ」

古川「あぁ、へぇ~…」

古川、気まずそうにスマホの画面を見る。




【シーン6 新宿のライブハウス・平日昼】

出囃子。

鈴木と古川「どーもー、ラブミーテンダーでーす」

古川、マイクの前に立ち客席を見て、一瞬一点を凝視。

すぐに元に戻り、そのまま漫才を続ける。




【シーン7 新宿のライブハウス外・平日昼】

古川、劇場の外に出て周りをキョロキョロ。

春子を見つけ、小走りで駆け寄る。

古川「春子さん!」

春子、古川の方を見て、

春子「あっ! 古川くん!」

古川「あれ、今日石田さんいないのに…」

春子「あっ、あのね。よく一緒にごはん食べたりするのに、あの1回しか漫才見たことないなって思って」

古川「あっ、それで…! ありがとうございます」

古川、軽く会釈。

古川「あれ、でも今日お仕事じゃ…」

春子、照れくさそうに笑いながら、

春子「有給が貯まっちゃってて。今一気に消化中なの」

古川「あっ、そうなんですね」

春子「来週もまたライブやるんだね。取り置き?してもいいかな?」

古川「あぁ、もちろんです! ありがとうございま…」

鈴木、2人のもとへ駆け寄る。

鈴木「おーい古川! 急にいなくなったと思ったら…。あれ? 大輔さん、一緒じゃないんですか?」

春子「今月末はちょっと忙しいみたい」

鈴木、スマホを取り出し、

鈴木「だから飲みの誘いないのかぁ」

古川「春子さん、来週のライブも来てくれるって」

鈴木「お! あざっす!」

春子「すごい面白かったよ! じゃ、またね」

春子、2人に手を振り歩き出す。

鈴木、春子に手を振る。

古川、春子が去るのを見ている。




【シーン7 石田の家・平日昼】

春子、部屋の掃除をしている。

玄関のチャイムが鳴る。

春子「はーい」

春子、モニターを見る。

春子「あっ…」

春子、玄関の方に行きドアを開ける。

古川が立っている。

春子「今、大輔さんいな…」

古川、首元に手を置き、

古川「あの…なんというか、お腹が空いて…来ちゃいました」

春子「あっ、そうだったの! じゃあ、えっと…」

春子、少し考え込むような動作をして、

春子「ごめんね。いま冷蔵庫空だから、そこのお店行こっか」




【シーン8 石田の家・平日夕方】

春子、玄関のドアを開ける。

石田、スマホから顔を上げ、

石田「おう、おかえり」

春子「あっ、帰ってきてたの!」

石田「うん。どこ行ってたの?」

春子、カバンを置きながら

春子「ちょっとそこまで」

石田「…あぁ、そう」

春子「今ごはん作るね!」

春子、慌ててキッチンの方へ。

石田「…ありがと」




【シーン9 公園・平日夕方】

古川、ベンチに座ったまま少しぼーっとする。

髪の毛をぐしゃぐしゃ。




【シーン10 石田の家・昼】

石田、玄関のドアを開け乱雑に靴を脱ぎながら、

石田「春子」

春子、玄関の方に行く。

春子「おかえり!」

石田の荒れた様子を見て、

春子「あれ、どうかした…」

石田「前、古川と飯行っただろ。2人きりで」

石田、リビングの方に向かう。

春子「あっ、あの…」

春子、石田についていく。

石田「なんで黙ってたんだよ。なんかおかしいと思ったよ」

石田、荒々しくベットに座る。

春子「あれ、あの、でも、ご飯を食べただけだよ。そこのお店で」

春子、お店の方角を指さす。

石田「じゃあ正直にそう言えよ。なんで黙る必要があるんだよ」

春子、うつむき、

春子「それは…ごめん…」

石田、春子の方を見て、

石田「ごめんじゃなくて、なんで変に隠したんだよ」

石田「わざわざ俺に言ってきた古川も古川だけどさ!」

春子、うつむいたまま。

石田「だいたい、古川がお前の休みを知ってて、俺がいないのにここに来たっていうのが…」

春子、顔をあげ、

春子「じゃあなんて言えば良かったの! 古川くんが、大輔がいないときにお腹空いたって突然うちに来て…それで2人で外でご飯を食べましたって正直に言ったら、それで納得してくれたの!?」

石田「いや…」

春子「私だって…どうしようって…どうしたらいいか、分からなくて…でも…」

春子、涙を流す。

石田「ごめん…そうだよな…ごめん」

石田、春子を抱きしめる。

石田、春子の顔を覗き込み

石田「ごめんな、春子。分かってあげられなくて…」

春子、石田の方を見る。

石田、春子にキスをする。そのまま舌を絡め合う。




【シーン11 ライブハウス・平日夕方】

鈴木と古川「どーも! ラブミーテンダーです!」

古川、客席を見て少し安心したような顔。

ニコニコしている春子がいる。




【シーン12 ライブハウス外・平日夕方】

古川、少し急ぎ気味で出てくる。

周りを見渡す。

春子の姿はない。



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