森木製菓

果たして社長になれるのか!?

共通の趣味が1コもない男性とデートをした


久々にマッチングアプリで彼ぴっぴを探そうと努めた。

なぜ久々かと言うと、去年カイジに惚れたときに全てのその類のアプリを削除したからだ。


と言ってもそこから結局また登録したりしたんだけど、それはあくまで"取りこぼさないため"だった。

もしかしたらカイジ競艇と筋トレが好きな人からいいねが来るかもしれないと思っていたが、全然こなかった。

こないどころかマッチングアプリ競艇が趣味の人が全くと言っていいほどいなかった。

でも確かによく考えたら、競艇好きな人はお金を出会いではなく可能性に使うだろうからいないのも納得だ。



そこで私はバチェラーデートというAIが勝手にマッチングさせてくれるアプリに登録した。

しかも前日まで相手のプロフィールも分からなければ、連絡を取ることもできない。

面倒くさがりな私にとってはうってつけである。

どうせ趣味が合う人がいないんだから、いっそ違う世界も見てみようと思った。



けれど当日は、28歳になっても恋愛メンヘラは変わらず、久しぶりのデートに激しいストレスを感じていた。

食欲がなくなり、狂ったようにアーバンギャルドを聴き続け、本当に気が狂いそうだったので競艇ライブをずっと見ていた。



最初のデートは1時間という決まりがあるのが幸いだった。

頑張って待ち合わせ場所に行き、初めは無難に仕事や住んでいる場所の話などで盛り上がった。

それからもう少し深い話になり、ここから私はつらい思いしかしなくなる。




自炊をしているかという質問をされたので、「してます。でも夜は同じものしか食べないので楽なんですけどね」と答えたらめちゃくちゃ引かれてしまった。

引かれてしまったので、筋トレをしているからだという理由を答えたら納得していただけたのだが、週4回くらいジムに行っていることに対して理解できないみたいな反応をされてしまった。

本当は夜だけじゃなくて朝も昼も同じものを食べ続けているのだが、刺激が強すぎるかもしれないと思って黙っておいた。


その後、相手が漫画が好きであることが分かった。

2,000冊以上持っているらしく「絶対に読んだことあるので、好きなのを教えてください」と言われた。

私は元気に「カイジです!」と答えた。


そしたらカイジは読んだことがないそうだ。

500冊だったら悩んだかもしれないけど、2,000冊もあるならと思って堂々と言ったのにその中にカイジはいなかった。

「他には?」と聞かれたので「ではグラップラー刃牙は?」と返したところ、それも読んだことがないとのことだった。


相手が更に引いていることが分かったので、私は「あとは東京リベンジャーズですかね」と言うとそこでやっと共通の話題が見つかった。

しかし私は実はアニメしか見たことがないのであまり語れなかった。



その後筋トレ以外の趣味も聞かれたのだが、筋トレ生活と好きな漫画で引いている彼に「競艇が好き」というのはあまりにも刺激が強すぎると思った。

そのため「ネットフリックスでドラマを見たりですかね。今はゴシップガールを狂ったように見ています」と言った。

相手は海外ドラマを見たりしないそうなので、もういよいよ何も一致しない。


"27を過ぎてから胃もたれとかするようになった"という全ての人間に共通する話題のときが1番盛り上がりのピークだったように思う。



帰り際に一応LINEは交換したが、お互いお礼だけ伝えてそこからは特に何もやり取りはしなかった。

そして私は日が経てば経つほど、あのドン引きの連続に苦しめられ、自分の良い意味での個性が悪い意味での個性であるように感じて心が悲しい。


でもよく考えたら、私たちはそもそもAIに機械的に選ばれなかったら一生出会うことはなかった。

生きていればそんな場面はいっぱいあるが、しかし恋愛においては私にはそういう出会いは合わないということが分かった。



しばらくは登録し続けるけど、でもデート代はやっぱり可能性に使おうと思います。